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甲状腺ホルモンと髪の健康な関係

私たちの体の様々な機能を調整している「ホルモン」。その中でも、喉元にある蝶のような形をした臓器「甲状腺」から分泌される甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝を活発にし、エネルギーを生み出すために不可欠な役割を担っています。そして、この甲状腺ホルモンは、実は髪の毛の健康とも深い関わりを持っているのです。甲状腺ホルモンには、主に「サイロキシン(T4)」と「トリヨードサイロニン(T3)」の二種類があります。これらのホルモンは、体の成長や発達、体温調節、心臓の働き、消化管の運動など、生命維持に欠かせない多くの働きを調節しています。そして、髪の毛を作り出す毛根にある「毛母細胞」の活動にも影響を与えています。毛母細胞は、活発に細胞分裂を繰り返すことで髪の毛を成長させますが、この細胞分裂や新陳代謝のプロセスにも、甲状腺ホルモンが適切に関与していると考えられています。つまり、甲状腺ホルモンが適正な量で分泌され、バランスが保たれている状態が、髪の毛が健やかに成長するための条件の一つなのです。しかし、何らかの原因で甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎたり(甲状腺機能亢進症)、逆に少なすぎたり(甲状腺機能低下症)すると、全身の新陳代謝に異常が生じるだけでなく、髪の毛の成長サイクル(ヘアサイクル)にも乱れが生じ、抜け毛が増えたり、髪質が悪くなったりといった「薄毛」の症状が現れることがあるのです。ですから、もし原因不明の薄毛や抜け毛に悩んでいる場合、その背景に甲状腺機能の異常が隠れている可能性も考慮に入れる必要があります。髪の健康は、体全体の健康状態と密接につながっている証拠と言えるでしょう。