髪のために亜鉛を意識して摂ろうとしても、ただ亜鉛を多く含む食品を食べるだけでは、効率よく体内に吸収されない可能性があります。亜鉛は、他の栄養素との組み合わせや調理法によって、その吸収率が大きく変わるミネラルなのです。効率よく亜鉛を摂取するための食事のコツを知っておきましょう。まず、亜鉛の吸収率を高めてくれる栄養素と一緒に摂ることです。代表的なのが「ビタミンC」と「クエン酸」です。ビタミンCは野菜や果物に、クエン酸は梅干しやレモンなどの柑橘類、お酢などに多く含まれています。これらの酸性の成分は、亜鉛を溶けやすい形(キレート化)にし、腸からの吸収を助ける働きがあります。例えば、肉や魚料理にレモンを絞ったり、野菜たっぷりのサラダを添えたり、梅干しを使った和え物にするなどの工夫が有効です。「動物性タンパク質」も、亜鉛の吸収を助けると言われています。肉や魚、卵などの動物性タンパク質と一緒に亜鉛を摂取することで、吸収率が高まる可能性があります。その点でも、牡蠣や肉類、魚介類は優れた亜鉛源と言えます。一方で、亜鉛の吸収を妨げてしまう成分や食べ合わせにも注意が必要です。「フィチン酸」は、玄米や豆類、種実類の皮の部分に多く含まれる成分で、亜鉛などのミネラルと結合して吸収を阻害する作用があります。ただし、フィチン酸は水に浸けたり、発酵させたりすることで減少するため、玄米をよく浸水させてから炊いたり、納豆などの発酵食品を選んだりすることで、影響を軽減できます。「食物繊維」も、適量であれば問題ありませんが、過剰に摂取すると亜鉛の吸収を妨げる可能性があります。また、「カルシウム」も、亜鉛と同時に大量に摂取すると、互いの吸収を阻害し合うことがあるため、サプリメントなどでカルシウムを大量に摂っている場合は注意が必要です。加工食品やインスタント食品に多く含まれる「リン酸塩」などの食品添加物も、亜鉛の吸収を妨げると言われています。できるだけ加工度の低い、自然な食品を選ぶことも大切です。これらのコツを意識し、栄養バランスの取れた食事を心がけることが、髪のための効率的な亜鉛摂取につながります。