鏡を見た時や、ふとした瞬間に窓に映った自分の姿を見て、「なんだか側頭部、こめかみのあたりの髪が薄くなった気がする」と感じたことはありませんか。薄毛というと、一般的には頭頂部(O字ハゲ)や生え際(M字ハゲ)が注目されがちですが、側頭部や後頭部といった側面の薄毛に悩む方も少なくありません。そして、この側頭部の薄毛は、AGA(男性型脱毛症)とは異なる、別の原因が潜んでいる可能性が高いのです。まず、最も大きな原因として考えられるのが「血行不良」です。側頭部には、下顎を動かすための大きな筋肉である「側頭筋」があります。現代人は、パソコンやスマートフォンを長時間使用することで、知らず知らずのうちに目を酷使し、歯を食いしばっていることが多く、この側頭筋が常に緊張し、凝り固まっている傾向にあります。筋肉が硬くなると、その周辺の血管が圧迫され、頭皮への血流が滞ってしまいます。髪の成長に必要な栄養や酸素は血液によって運ばれるため、血行不良は毛母細胞の働きを低下させ、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりする直接的な原因となるのです。次に、「眼精疲労」も側頭部の薄毛に直結します。目の疲れは、側頭筋だけでなく、首や肩の筋肉の緊張も招き、頭部全体の血行を悪化させます。また、自律神経の乱れにも繋がり、頭皮環境を悪化させる一因となります。さらに、女性の場合に特に考えられるのが、ポニーテールやきつく髪を結ぶ習慣による「牽引性脱毛症」です。常に同じ場所の髪が強く引っ張られることで、毛根に負担がかかり、その部分の髪が抜けて薄くなってしまうのです。側頭部は、髪を結ぶ際に特にテンションがかかりやすい部位です。これらの原因は、AGAのように男性ホルモンが直接関与するものではなく、日々の生活習慣や身体的なストレスに起因することが多いのが特徴です。つまり、原因を正しく理解し、適切なケアを行うことで、改善が期待できる薄毛と言えるでしょう。
側頭部の薄毛が目立つ?考えられる主な原因とは