-
円形脱毛症も皮膚科で治療できる?
薄毛の悩みというと、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、薄毛の原因はそれだけではありません。突然、コインのように丸い脱毛斑ができる円形脱毛症も、多くの人が経験する薄毛の一つです。そして、この円形脱毛症も、皮膚科で専門的な診断と治療を受けることができます。円形脱毛症は、自己免疫疾患の一つと考えられています。本来なら外部からの敵を攻撃する免疫細胞が、誤って自分の毛根を攻撃してしまうことで、毛が抜け落ちてしまうと考えられています。原因は完全には解明されていませんが、ストレスや遺伝的要因、アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患などの自己免疫疾患を持っていることなどが関連していると言われています。円形脱毛症は、大きさや数が様々な脱毛斑が突然現れるのが特徴ですが、頭部全体に広がる汎発性や、眉毛、まつ毛、全身の毛が抜ける重症型もあります。円形脱毛症の治療は、その重症度や患者さんの年齢によって異なりますが、皮膚科では以下のような治療法が一般的に行われます。まず、軽症の場合や初期段階では、ステロイド外用薬や塩化カルプロニウムなどの外用薬による治療が中心となります。これらは、毛根部での炎症を抑えたり、血行を促進したりすることで、発毛を促すことを目的としています。中等度以上の場合は、より強力なステロイドの局所注射を行うことがあります。これは、脱毛斑の部分に直接注射することで、免疫細胞の攻撃を抑え、発毛を促す効果が期待できます。お子さんや重症の円形脱毛症に対しては、ステロイド内服薬が用いられることもありますが、副作用のリスクも伴うため、慎重に適用が検討されます。また、局所免疫療法という治療法も行われます。これは、人工的にかぶれを起こす化学物質を脱毛部に塗り、軽い炎症を起こさせることで、毛根を攻撃している免疫細胞の働きをそらすことを目的とした治療法です。この治療法は、特に慢性化・重症化した円形脱毛症に有効とされる場合があります。