女性の体は、一生を通じて様々なライフステージを経験し、それに伴ってホルモンバランスも大きく変動します。このホルモンの波は、髪の健康状態にも少なからず影響を与え、抜け毛や薄毛の悩みとして現れることがあります。まず、「思春期」には、女性ホルモンの分泌が活発になり始め、髪も豊かに成長する時期です。しかし、環境の変化やストレス、無理なダイエットなどによってホルモンバランスが乱れると、一時的に抜け毛が増えることもあります。「妊娠・出産期」は、女性ホルモンの分泌量が劇的に変化する時期です。妊娠中はエストロゲンの分泌量が高く保たれるため、通常よりも髪の成長期が延長され、抜け毛が少なくなる傾向があります。しかし、出産後はエストロゲンが急激に減少するため、成長期を維持されていた髪が一斉に休止期に入り、産後数ヶ月経った頃に「分娩後脱毛症」として大量の抜け毛を経験する方が多くいます。これは一時的な現象であり、通常は半年から1年程度で自然に回復しますが、精神的な負担となることもあります。「授乳期」も、ホルモンバランスが不安定になりやすく、また育児による睡眠不足やストレス、栄養不足なども重なり、抜け毛が続くことがあります。「更年期」（一般的に45歳〜55歳頃）は、卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が急激に減少する時期です。これにより、髪の成長期が短縮され、髪が細くなったり、抜け毛が増えたり、ハリやコシが失われたりといった、いわゆる「加齢による薄毛」の症状が顕著に現れやすくなります。FAGA（女性男性型脱毛症）もこの時期に発症・進行しやすくなります。このように、女性のライフステージにおけるホルモンバランスの変化は、髪の状態に密接に関わっています。それぞれの時期に起こりうる変化を理解しておくことで、過度な心配を防ぎ、必要に応じた適切なケアや対策をとることができます。
ライフステージとホルモン変動、髪への影響
