薄毛

抜毛症かも?癖が原因の場合も

お子さんの髪が薄くなっている、特に特定の箇所の髪が不自然に短い、あるいは地肌が見えている、といった場合、もしかしたら「抜毛症(ばつもうしょう)」または「トリコチロマニア」と呼ばれる状態かもしれません。これは、自分で自分の髪の毛を抜いてしまう癖(習慣)が原因で起こる脱毛です。抜毛症は、ストレスや不安、退屈、あるいは発達上の特性などが背景にあると考えられています。髪の毛を抜く行為が、一時的に緊張を和らげたり、心地よさを感じさせたりするため、無意識のうちに、あるいはやめたくてもやめられずに繰り返してしまうのです。小学生くらいの子供にも見られることがあります。症状としては、自分で抜きやすい場所、例えば前頭部や側頭部、頭頂部などの髪が、まばらに、あるいは広範囲に抜けていたり、途中でちぎれていたりするのが特徴です。円形脱毛症のように、境界明瞭な完全な脱毛斑になることは少なく、短い毛や切れ毛が混在していることが多いです。本人は、髪を抜いていることを自覚していない場合や、隠している場合もあります。周りの大人が、髪をいじったり、引っ張ったり、抜いたりしている場面を目撃することもあります。抜毛症が疑われる場合、大切なのは、お子さんを「叱らない」ことです。髪を抜く行為は、本人の意思だけではコントロールが難しい場合が多く、叱責されることで、かえってストレスが増し、症状が悪化してしまう可能性があります。まずは、お子さんがどのような状況で髪を抜いてしまうのか、何かストレスや不安を抱えていないかなどを、優しく見守り、話を聞いてあげることが大切です。学校生活や友人関係、家庭環境などに変化はなかったか、なども振り返ってみましょう。対応としては、まず皮膚科を受診し、他の脱毛症(円形脱毛症など)ではないことを確認してもらうのが良いでしょう。皮膚科医は、抜毛症の特徴的な所見から診断を下すことができます。抜毛症と診断された場合、その背景にある心理的な要因へのアプローチが必要となることがあります。ストレスの原因を取り除く、安心できる環境を整える、といった関わりに加えて、必要であれば、小児科医や児童精神科医、臨床心理士などの専門家と連携し、カウンセリングや行動療法などのサポートを受けることも検討されます。