小学生のお子さんの髪が薄く見える、あるいは薄くなったように感じる場合、その原因はいくつか考えられます。病的な原因もありますが、多くは心配のないケースです。まず考えられるのは、「生まれつきの髪質や毛量」です。髪の毛の太さや密度は遺伝的な要因が大きく、もともと髪が細くて柔らかい子や、毛穴の数が少なめの(密度が低い)子もいます。このような場合、病気ではなく、その子の個性として捉える必要があります。成長とともに髪質がしっかりしてくることもあります。次に、「ヘアサイクルの影響」です。髪の毛には成長期・退行期・休止期というサイクルがあり、自然に抜け替わっています。子供の場合、このサイクルがまだ安定していなかったり、一時的に休止期に入る毛が増えたりして、抜け毛が増える時期があるかもしれません。また、新生児期に見られた髪の毛(新生児毛)が生え変わる時期が、幼児期後半から学童期にかかることもあります。「生活習慣や栄養状態」も影響します。偏った食事による栄養不足(特にタンパク質、亜鉛、鉄分など)や、睡眠不足は、髪の健やかな成長を妨げる可能性があります。また、強いストレスを感じている場合も、一時的に抜け毛が増えることがあります。「間違ったヘアケア」が原因の場合もあります。洗浄力の強すぎるシャンプーを使っていたり、髪を強く結びすぎていたり(牽引性脱毛症)、ドライヤーの熱を当てすぎたりすると、髪や頭皮に負担がかかり、薄毛に見えることがあります。そして、注意が必要なのが「病的な原因」です。代表的なものに「円形脱毛症」があります。突然、コインのように円形に毛が抜ける病気で、子供にも発症します。「脂漏性皮膚炎」などの頭皮の炎症や、「頭部白癬(しらくも)」という水虫菌による感染症も、抜け毛の原因となります。また、ごく稀に、甲状腺疾患などの内科的な病気や、先天性の疾患が隠れている可能性もあります。このように、原因は様々です。まずは、お子さんの様子をよく観察し、原因を探ってみることが大切です。