ふとした瞬間に合わせ鏡で自分の後ろ姿を見たとき、あるいは家族や友人から指摘されて、「あれ？つむじ周りの地肌がなんだか目立つ気がする…」と感じたことはありませんか。頭頂部にある「つむじ」は、髪の毛が渦を巻いている部分であり、もともと地肌が見えやすい箇所ではあります。しかし、以前と比べて明らかにつむじ周辺の髪が薄くなってきた、地肌の見える範囲が広がってきたと感じる場合、それはAGA（男性型脱毛症）の初期サインである可能性が考えられます。AGAは、男性ホルモンの一種であるDHT（ジヒドロテストステロン）の影響により、髪の毛の成長期が短縮され、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまう進行性の脱毛症です。特に、前頭部の生え際（M字部分）と並んで、「頭頂部（つむじ周辺）」は、DHTの影響を受けやすいアンドロゲンレセプターが多く存在するため、AGAの症状が現れやすい代表的な部位とされています。頭頂部から薄毛が進行するタイプは「O字型」とも呼ばれます。AGAが頭頂部で進行し始めると、まず、つむじ周辺の髪の毛が細く、短く、弱々しくなる「軟毛化」という現象が見られます。髪の毛一本一本にハリやコシがなくなり、ボリューム感が失われていきます。そして、軟毛化した髪の毛は抜けやすくなるため、徐々に髪の密度が低下し、地肌が透けて見える範囲が広がっていくのです。つむじはもともと毛流れが複雑で地肌が見えやすい部分なだけに、初期の変化に気づきにくいこともあります。「光の当たり具合かな？」「寝癖かな？」と見過ごしてしまうケースも少なくありません。しかし、AGAは進行性であり、放置しておくと薄毛は徐々に広がっていきます。つむじ周りの変化を「年のせい」と片付けずに、AGAの可能性を疑い、早めに状態をチェックすることが重要です。