抜毛

ピルと薄毛の関係性について

経口避妊薬、いわゆる「ピル」は、避妊目的だけでなく、月経困難症や子宮内膜症の治療、ニキビ改善など、様々な目的で服用されています。ピルには女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が含まれており、体内のホルモンバランスをコントロールします。このピルの服用や中止が、髪の毛に影響を与えることがあるのでしょうか。まず、ピルの「服用中」についてです。ピルに含まれるエストロゲンは、髪の成長期を維持する働きがあるため、服用中はむしろ抜け毛が減ったり、髪質が良くなったりすると感じる方もいます。特に、男性ホルモンの作用を抑える効果があるタイプのピル(低用量ピルの一部など)は、ニキビ治療と同時に、多毛症や、男性ホルモンが関与するタイプの薄毛(FAGAなど)に対して、副次的な改善効果を示す可能性も指摘されています。ただし、ピルの種類や、個人の体質によっては、まれに副作用として脱毛が起こる可能性も報告されています。次に、ピルの「服用中止後」についてです。ピルの服用を中止すると、それまで薬によってコントロールされていたホルモンバランスが、元の状態に戻ろうとして大きく変動します。特に、服用中に高まっていたエストロゲン濃度が急激に低下するため、出産後に起こる「分娩後脱毛症」と似たようなメカニズムで、一時的に抜け毛が増加することがあります。これは通常、中止後数ヶ月経ってから現れ、多くは半年から1年程度で自然に治まりますが、精神的な負担となることもあります。また、ピルの服用によって抑えられていた男性ホルモンの影響が、中止後に再び現れることで、FAGAなどの薄毛が進行し始める、あるいは顕著になる可能性も考えられます。ピルと薄毛の関係は、このように服用中と中止後で異なる側面があり、またピルの種類や個人のホルモン感受性によっても影響は異なります。もし、ピルの服用中や中止後に抜け毛や薄毛が気になる場合は、自己判断せず、ピルを処方してもらっている医師(婦人科医など)や、皮膚科医に相談することが重要です。他の原因がないかを確認し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。