つむじ周りの薄毛が気になると、「頭皮マッサージをすれば改善するのでは？」と考える方もいるかもしれません。頭皮マッサージは、血行を促進し、頭皮を柔らかく保つ効果が期待できるため、健やかな髪を育むためのケアとして一般的に推奨されています。では、AGA（男性型脱毛症）によるつむじはげに対して、頭皮マッサージはどの程度効果があるのでしょうか。頭皮マッサージの主な効果は「血行促進」です。指で頭皮を揉みほぐすことで、硬くなった頭皮の筋肉が和らぎ、毛細血管の血流が改善されます。血行が良くなると、髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が毛根（毛母細胞や毛乳頭細胞）へ届きやすくなります。これにより、毛根の働きが活性化され、健康な髪の成長をサポートする効果が期待できます。特に、ストレスや肩こりなどで頭皮が硬くなりがちな現代人にとって、頭皮マッサージはリラックス効果とともに、頭皮環境を整える有効な手段と言えるでしょう。つむじ周りは血行が滞りやすい部分とも言われているため、意識的にマッサージを行うことは、つむじケアとして意味があると考えられます。しかし、重要なのは、頭皮マッサージはAGAの「根本的な原因」に直接作用するものではない、ということです。AGAは男性ホルモンDHTが毛根に作用することで進行します。頭皮マッサージでDHTの生成を抑えたり、その作用をブロックしたりすることはできません。したがって、頭皮マッサージだけでAGAによるつむじはげが治ったり、顕著な発毛効果が得られたりすることは期待できません。頭皮マッサージは、あくまで「育毛環境を整えるための補助的なケア」と位置づけるのが適切です。AGA治療薬（フィナステリド、ミノキシジルなど）による医学的なアプローチと並行して行うことで、治療効果を高めるサポート役となる可能性はあります。マッサージを行う際は、爪を立てずに指の腹を使い、優しく、心地よいと感じる程度の力加減で行うことが大切です。強く擦りすぎると、かえって頭皮を傷つけたり、抜け毛を増やしたりする可能性があるので注意しましょう。